
2-1成長
【封印】【待伏】【交錯】【玉響】【+硬】【怒涛】【+硬】
「4回戦のキャラの中で一番うまそうなものを買ってきましたよ、女王」
「ありがとう、ズー・「サディスト」
女王が言いかけたのを、ズー自身が遮る。
「サディスト?」
「サディストです、サディスト! ズー・サディスト! 2001年のダンス・シーンはまさにパラパラ・パラダイス!
ズーと言ったらまさにサディスト! そんな感じで」
「……そうだっけ? なんか、もっと違う性癖だったような……」
「Nォーーーー!サディストです、サディスト!
『わしは生まれて50年、ただ鉄だけを叩いてきた』っていう鍛冶屋くらいの勢いでサディストです!
彼氏以外の男になんか抱かれたくない、サディスト以外の性癖なんかに捕らわれたくない!
好きなマンガ家は木月あきら、尊敬する人物はアドルフ・ヒトラー!サディスト・ザ・ズーです!」
「そうだっけ……なんかそんな気もしてきた」
「ごめんなさい、GM(Grand Mother。エレル・テムテ族の神話的指導者。エレル・テムテではアミニズムに近い信仰形態をとっており、
Grand Mother自体は神ではないが、1893年に調査を行ったライケルガ・ペルニッツ教授によれば、西洋的な感覚で言う神に近い信仰を集めている。
エレル以前のペク・ネネ・テムテ時代までその源流を遡ることが出来る。
テムテでは男性の族長の他に、現世におけるGrand Motherの代行者としての女性による二極の権力構造があり、この代行者自身もまたGrand Motherと呼ばれる。
族長とGrand Motherとの間に婚姻関係は必須ではない一方、それを禁じる制限も存在ない。
また、Grand Motherの後継者が十分な年齢に達しておらず、指導者としての能力が不足していると考えられる場合には、男性の摂政がつくこともある。
スロシパ・テムテの時代にはこの摂政(ネ=クシア=ナンカ=ナンカ)がGrand Motherを傀儡として権勢を奮ったため、
Grand Motherの名でGrand Motherの摂政をも指すようになった)がうるさいんで」
「そうか……GM(General Manachandise。多種多様な内容を含む多様マナ複合巨大世界。多くは数千億規模のMPで構成される。
単一種類のマナで構成されるMP数百万前後の小世界の多くは、General Manachandiseが進出してくると吸収されるか、衰退を余儀なくされる。
小世界側は協力し、宇宙構造に根回しするなどしてGeneral Manachandiseの進出を阻もうとするが、
世界自体の利便性に優れるGMはその世界の住人からは歓迎される傾向にあり、住人自体がGeneral Manachandiseに流出していってしまうケースは少なくない。
住人のニーズの変遷に対応し、『古きよき小さな世界』の型にとらわれない新たなバリューの創出によるブレークスルーが、今小世界に求められている)
がうるさいんじゃしょうがないね」
「はい、エレル・テムテとてもグローバリゼーションの波からは逃れられず古い伝統が途絶えていっている現状ですが、やはりGMの言葉は重みがあります」
認識がずれているのでズーの言っていることが女王にはよくわからない。2回戦の話はなかったことになったので、特に精神的なリンクとかもない。
しかし、Grotesque Monstersの攻撃によってこれまで積み重ねてきたすべてが失われた今、このズー・サディストだけが女王の頼りだ。
何か違うものと戦っていたような気がするが、夢見ている者の不快感に配慮して内容が捻じ曲げられるなんてのは夢ではよくあることだ。
これが夢であるらしいことと、自分の名前がアリスであることだけは女王は覚えていた。
niv